過払い金返還で画期的事例 =北区民商の会員が特定調停で返還実現!
利息制限法を超える違法な高金利で貸し付けているサラ金・クレジット・商工ローン。 北区民商の金融相談会「虹の会」では、相談者どうしが経験を交流し、助け合いながら特定調停制度の活用を中心にとりくみ、違法な高金利に基づく債務を減額したり、払いすぎが生じた場合は「過払い金返還訴訟」などでお金を貸金業者から取り戻すとりくみを進めています。 このたび、「過払い返還訴訟」を起さずとも、特定調停のなかで過払い金の返還が実現できたという画期的な事例が北区の会員のとりくみから生まれましたので紹介します 売上げの減少がつづくなかで、家賃など月々の店の維持費の支払いに苦慮し、カードのキャッシング等を利用し始めた会員のOさん(製菓業)は昨年秋、多重債務の相談で虹の会へやってきました。このOさんが、特定調停のなかで金融業者から過払い金を返還させるという画期的な成果を上げました。 訴訟を起さずとも調停で過払い金返還 これまで特定調停では、過払いが発生した場合でも借り手に債務がないことを確定するにとどまり、過払い金の返還は別途「過払い返還訴訟」を提訴するしかありませんでした。これについて東商連では、東京簡易裁判所に「特定調停の運用改善に向けて」の申し入れで、毎回この過払い金の返還を調停の場で出来るようにと要請してきました。 しかし、簡易裁判所は、「調停は債務の支払いを話し合う場で、過払いを取る場所ではない」との主張に終始し、現場では計算書により明確に過払い金額が確定している場合でも、調停員は「過払いは裁判でやりなさい」と、返還の意志を業者に伝えることすら拒否してきました。 ところが今回、Oさんの粘り強い要請により、調停員から「ためしに相手業者に過払い金の返還を聞いてみましょう」ということになりました。すると驚いたことに、丸井とニコスの2社が素直に「お支払いします」という返答をよこし、あっさり調停での過払い返還が実現。これに気を良くしたのか、今度は調停員から「異議申し立てが出るかもしれませんが、他の会社は裁判所から過払いの 17 条決定を出してみましょう」となりました。その後、この決定に対し相手業者からの異議申し立ては無く、過払い金返還が確定しました。丸井とニコスからはあわせて約100万円が返還されています。 これまでの運動の成果。 より迅速な返還めざし この事例は、これまでの最高裁の一連の判決やそれを受けての貸金業法の改正など、われわれ民商が対策弁護団やクレサラの会などと共に勝ち取ってきた成果が情勢を変えた証明であると思います。 このひとつの事例を足がかりに、全ての案件で特定調停の場での過払い金の返還が実現するよう、簡易裁判所への要請行動を強めていきます。 (調停に代わる決定) 第17条 裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。 ※今回の事例の17条決定実物はここをクリックしてください。>>